午後から雨になるでしょう

「酒と肴」のブログ記事一覧

さて、孤独を手に入れようぜ

母の圧迫骨折からのいろいろここには書けない苦労が……

わたしも正直、半分、倒れてたりしましたが、なんとか、がんばってます。母もわたしも。

ご心配おかけしてすみませんです!

 

昨年、ちひろ美術館で観たショーン・タンの待望の新作が出ました、うれしい!

「内なる町から来た話」(ショーン・タン 岸本佐知子訳 河出書房新社)

25話の短編集で、文章量が思ったより多く、読むのには本が大きくて分厚く腕が痛い。

だがしかし絵はもっと大きな判型で観たいくらい……(展示されていた原画が大きかっただけに)と、ジタバタするこれ!

でももちろん……素晴らしかったです。

本作は動物(や魚や虫)の連作になっていて、人間の暮らす町に忽然と居る姿が描かれた絵が多く。

ショーン・タンの作品にはいつも共通して世界との違和感とか、ずれとか、孤独があり、これもまたその新しい表現なのかなぁ。あといつも、物語が絵の「説明」になっていないのがとても良いです。

いっぺんに読むより、日々ちょっとずつ読みたい本。(と言いつついっぺんに読んじゃったんだけどね)

お気に入りの一篇をみつけるのもたのしいと思う。その時々で変わるかも知れないしね。誰かと話したくなる。

わたしはどれか? いまのわたしはねぇ、意外でしょうが、「サメ」。

 

たまたまですが、続けて、絵と文章の本を読んだ。こちらはエッセイ。

「ざらざらをさわる」(三好愛 晶文社)

この絵も、好きなのだ。「初のエッセイ集」ということですが、面白い。「へんな人だなぁ」と思うんだけど、たまにわたしも似たようなとこがあったりして、おやってなる。

(ところでこの本の帯に翻訳家、岸本佐知子先生の推薦コメントがある。なにか岸本さんだらけ!)

それから、この本のあとがきに書かれていることを読んで、「うーん。そうかもしれないねえ」と思った。(抜粋しないから気になる方は本を買って読んでください)

 

自分の力ではどうしようもないことばかりで、孤独を突きつけられているようで、でも自分から手に入れたい孤独もまたあるのだ。例のあの、おなじみの。使い古しの毛布みたいなやつ。

 


吉永亜矢(2020年09月18日) カテゴリー:

夏の終わりに

 

8月最後の日曜、30日にゴゴアメ夏のオンラインワークショップ、全4回の最終回を無事に終えました。参加者みなさまに心から、感謝。

台本を各回、続きもの形式で送っていったので、つまり締め切りもあり、どうなることかと毎回、焦りました。

前回ブログに「そんな大作じゃない。授業中にノート回して友達に読んでもらうようなもの」とか書いたけど、わかってないね、自分。そういうのがたいへんなんだよ、キミにそんな芸当ができるかね? 自分!

いや、終わってみたら、超・大作でしたよ。わけわからん、自分。

 

まず、長くて長かった。最終的な台本枚数がゴゴアメ朗読の一公演分くらいあった……参加者メンバーみんなこれには笑ってました。

お話はアンデルセンの「人魚姫」をモチーフにしたオリジナルで、以前ゴゴアメワークショップで書いた作品がありまして(台本のデータを見たら2014年でした。そんなに前だとは思わなかった……そのときも続き物方式だった)。

それを、あるひとつの思いつきがあって「あたらしく」書いてみようと思ったものです。なので、まったくどういう話になるかわからないというものでもないけれど、それでも、どうなるのか……前のよりつまらなくなるのは絶対に嫌だし、と、悪戦苦闘しました。

同時にオンラインでのワークショップでなにができるか……

「お試し」ではあるけど、参加者みんながすこしでもたのしめるように……とまたそこでも悩み。

ゴゴアメは劇団ではないので、公演がなければ特に集まることもなく、レギュラーメンバーとなりつつある仲間たちにはそれぞれの仕事や活動があってみんな忙しく。それでも集まってもらって、これをやる意味があるのか……と。

でもとにかくやってみて、わたしは毎回、苦しくもたのしかったし、次回への課題みたいなものも見えてきたし、やってよかったと思いました。

いろんなことを感じたり、考えたりしたのですが、一番は、仲間がいるっていいな、と思いました。一緒にトライしてくれる。わたし一人じゃなにもできないので。ありがたいことです。

それからゴゴアメ夏のワークショップとして定例化しつつあるのだけど、今回も、明日香がキャンディキッズ(明日香が教えているキッズダンスチーム)から二人を誘ってくれて。十代の女の子、ちっひー、すずなが参加してくれたことにも、力をもらいました。

画面のなかではあるけどすぐ目の前の二人が面白いって思う台本を書こうとすることって(大人参加者にもですが)、恐ろしくも、たのしい経験でした。

本はすこし寝かせて、推敲を重ねて完成させておきたいと思っています。

いつか……公開できますように!

 

しかし、ほんと、無事にできてよかった。と思うのには個人的な理由もあって。

最終回の台本はもうちょっと早くみんなに送ろうと思ってがんばってたんだけど、ちょうどラストにさしかかった頃、夜中に、母がお世話になっている介護施設から電話があり……

もう、口から心臓が飛び出すかと思った。(介護施設の利用者家族にはわかると思いますが! ほんとこれね!)

転倒でした。トイレに行ったあと、尻餅ついてしまったみたい。

頭も打たなかったし、ちょうど土曜の深夜だったというのもあり、様子見になったのですが、月曜には総合病院を受診してレントゲンをとってもらおうとなり。と、決めるまでは何回も施設の看護師さんと電話でやりとりして。厄介な感染症問題もあるし……

で、これもご存知の方はご存知でしょうが、病院に行くときは家族が連れて行くのですよ。だからわたしが行ったのですが……

あのね……もう……ほんと……不安だった……よ……

本人、痛くて座れないっていうので……リクライニングの車椅子を倒して寝た状態で。病院までは介護タクシーさんに連れて行っていただいたのですが、病院のなかではわたしが押して行くしかなく……結局、ベッドに移乗させるよりそのままのほうがいいとなって、院内をその状態でうろうろしました。すごい目立ちましたよ……

もうヘロヘロでしたが翌日も受診になったので、二日連続で大仕事でした。

この長きにわたって面会できないことに本人もわたしも困ってきたのに、二日連続、たっぷり半日ずつ、一緒に過ごしました!!

それを怪我の功名、と言う余裕は、ちょっとないですね。

 

レントゲンの結果は「圧迫骨折」でした。(大腿骨は無事!)

その日はちょうど、母の誕生日で。

診察後、廊下で車椅子に横になった母に、ボードに書いては顔の上に掲げて説明し、最後に「お誕生日、おめでとう!」って書いたら、さすがに笑ってた。

(ところでそのとき、これ、わたしがいま書いている『人魚姫』と妙にリンクしてるんですけど……どうしてこうなった?! と思いました。本を読んだ人にしかわからないことだけど……)

 

1日目は母がグッタリしていておとなしく、気の毒でわたしも泣きそうだったけど、2日目は「ずっと同じ姿勢だから首が痛い」(うん? 首は動くよね……? 首は自分で動かして、母? しかし伝わらず)とか、ああしろこうしろ、1秒ごとに文句。

もうね……

そんでなにか飲んだり食べたりしたがるから、まあ一緒に飲んだり食べたりもう半年間もできてないからねえ……

院内コンビニのサンドイッチとストロー付きのカフェオレ買ってきて。待合室の片隅で食べたよ。

あたし、どこにも遊びに行かないようにしてきて、まさか総合病院の待合室で、マスクはずしてなにか食べるとは……と思ったよ。
ま、こういう時のために遊んでないのだからいいのか? 知らんよもうあたしゃ。

 

なんというか、ワイルドな人生です、いま。すさまじく。

 


吉永亜矢(2020年09月03日) カテゴリー:

こんどは暑すぎ

 

ふだんからまったく運動しないんだけど、わたしのいいところは、けっこう歩くのよ。

それが母の介護施設に通うのと、仕事の打ち合わせと、どっちも行かなくなると、ものすごく歩かなくなって(先月スマホの歩数計見ると一日の平均歩数が去年の半分以下だった)すこし不安になってきたので散歩することにした。

自分の住んでるところでも、基本は駅とうちの間しか往復しないから、ぐるぐる歩いていくと、知らない街にいるみたいで、意外とおもしろい。

しかし、こう暑くなると……夕方にしてもかなりへばる。朝に切り替えてみることにしたけど……

ほんとうに異常な暑さ。みなさん、どうか大事にしてくださいね。

 

でもやっぱり夏空を眺めるのは気分がいいものです。

気持ちが滅入ってばかりいるから、余計にね。

この間、ゴゴアメのオンラインワークショップをやったあと、散歩に出たら虹が見えた。

これまで見たことないくらい、色がはっきりしていて、きれいだった。

ああこれ稽古場だったら「虹だよー」と言って、みんなでゾロゾロ「ほんとだ。虹だ虹だ」(語彙!)とか言ってるんだよなあ、とか思いながら歩いた。

 

前回書いたように、オンラインでは(ゴゴアメとしては)できないことが多いと思っていて、作品を完成させることは目指さず(ワークショップだしね)それでも作品をつくることのたのしさをすこしは味わったり思い出したり、できたらいいな、と考えていくなかで……

まず台本は書こう、と。そして毎回のワークショップで台本をすこしずつあげていく、「連載方式」にすることにした。

一番の理由は、役者のみんなに、いつものように「あたらしい台本が届いた」という経験だけはしてほしい、と思ったこと。

きっちり稽古を積んでいくものではないのなら、「初読み合わせ」のたのしさくらい、あったらいいとも思った。

あとは自分にそのくらいは課したかった。

でも、よく考えたら(よく考えなくてもそうなのに!)誰も頼んじゃいないのに、本書いて、送って、ってよくやるよ、と我ながら思う。

ひょっとして、いい迷惑……だったのかな……(まりに聞いてみるか……否、よそう!)

 

そして、いつもそう簡単には書けないけど(もちろん)、どういうのか、ものすごく、書けないのよ。

毎日、嫌なニュースがあって落ち着かないとか、母からのメールで心配事が多い、とか、理由はあるけど、それにしても、いちいち悩みながら書いている。

そんな大作を書いているわけではない。自分としては「これは学校で授業中にノートに書いて、友達に回して読んでもらってクスクスしてもらうようなもの」と思っているのだが、それにこれほど大汗かくことになるとは。恐ろしい。

まあこうブログを読んでいるあなたには、自分で罠つくって、自分ではまってる、という話で実にばかばかしいと思いますが……ふんとにね。なにさ。(逆ギレ)

まだ続きあるんでね、また書きます。

 

写真は「てるる」。かわいいよね!

てるるの活動もイベントはすべてつぶれてしまっているだろうし、どうしてるかな……逆に配信で忙しいかな、と思いつつ、なにか応援したくて、グッズを大人買いしました。

おまけしてもらったり、逆に励まされたりしたんだけど。ありがとう、てるる&てんちゃん。

これからも応援していますよ。

 


吉永亜矢(2020年08月14日) カテゴリー:

長すぎる梅雨

湿気にやられていました。からだもあたまもだるい。豪雨の災害のニュースに胸もふさぎ……

母からのメールもつらいつらいとくる。

気がつくと、「せめて晴れてくれないかな……」とばかり思ってる。

 

東京の感染者数は日に日に増えるし、感染者数なんて「数字」(しかも曖昧な)を気にしながら暮らすなんて、嫌なことだ、とこれも毎日のように思うけど、とにかくいまや東京ばかりではなくなってきました。

わたしの生活は「緊急事態宣言」前も後も変わらずで、誰にも会わずどこにも行かず、なのにやたらと日々がどんどん過ぎていく。(家のなかでいつも走ってるんだけどなんでだろ)その癖、ちょっと前のことがずいぶん前に感じる。悪いニュースが多すぎる。

 

たのしかったことを。

ゴゴアメの朗読公演にギター生演奏で出演してくださっている(前回は録音)、齋藤丈二さんのバンド、「サーディン・ヘッド」のライブ生配信があって。見られた!

(青山月見ル君想フ http://www.moonromantic.com/?p=44282

いやあ、すてきでした! 天才! 天才集団! ってなぜかあまり人に言いたくないのだけど。(営業妨害かな?)

意外とライブハウスに『こっそり』行った気分を味わえました。

そして演奏にはもっとどこか知らないところ、遠くに連れてってもらえた気分になった。

サーディン・ヘッドよありがとう!

また配信やるかも、と言っていたので期待。

 

さてゴゴアメは、オンラインでワークショップをやることに。

ゴゴアメの朗読はオンラインでできるものではないと思うし、稽古的なことは一切やらないという前提で(じゃあなんだって言われても困るんですが)、そんなんでももしよかったら、とレギュラーメンバーに声をかけまして。

どうだろうな……って思ってたんだけど、第一回目、想像を超えてたのしかった。

これについてはまた書きます。

 

写真は思いがけず、友達が送ってくれた手作りのマスク。

誰からも忘れられたような日に届いて、うれしくて、ありがたくて。

すてきでしょ。「雑だから写真載せたりしないで」と言われたけど、載せちゃうのだ。問題はもったいなくて使えないこと。

 


吉永亜矢(2020年07月23日) カテゴリー:

『仕事本』

 

「仕事本 わたしたちの緊急事態日記」(左右社)これ、おもしろかったです。いや、おもしろいっていうのはなんですが、それでも。

今年の4月の、いろいろな職業の方々の日記。なんと77人分、分厚いです。

休業せざるを得なかった方々、いつも以上に働かざるを得なかった方々……

とまどい、不安、焦り、怒り、悲しみ……

ほんとうにさまざまなのですが、その一人ひとりの『声』に耳を傾けている時間はわたしにとって、良いものでした。

この頃、こうやってブログに自分のことなんか書くより、いまはひとの話を聞きたいよ、と思うのだが、なんせひとに会わないからね!

そしてでも、自分の周りにいない職業の方や、逆にスーパーの店員さんや配達の方などごく身近で支えてもらっている方々にも、話を聞くってことはなかなかない。だからおもしろかった。

当然「そうなんだ」と驚かされることもたくさんあったけど、「ほんとうにねえ」と頷きたくなることも多かった。

そして全員を尊敬した。

日記は4月限定なので、ふっつりすべて途切れる。みなさんその後どうしているだろう、と気になる。

 

最近は世の中が嫌になることが多い(とことん!)けど、世の中はほんとうは、尊敬できる人たちでいっぱいなのだ。

わたしはそれを知っていた。忘れないようにしたい。

新しいウィルスを防ぐ手立てがみつかるまでは残念ながら長い時間がかかるのだというのはわかった、でもみんなが尊敬しあえる世の中にはいますぐなれるはずだ。いますぐそうなりますように。

 


吉永亜矢(2020年07月10日) カテゴリー:
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