電車で、なにげなく席を譲られた!
わたしが立っている前に座っていた若い男の人が、急に立ち上がったので、あれ、と思った。次でおりるのかなと思った。でもおりなかった。
そういえば何も言わなかったけど、立つときそっと手で席を差していた。「どうぞ」というふうに。わたしのそばには他に誰もいない。
わたしか。やはり、わたしに譲ってくれたのか。おばあちゃんか。おばあちゃんに見えるのか。それとも、弱そうだからか? 通りすがりの小さい犬に舐められるくらい弱そうだからか。
時々、朝、隣の神社にお参りしに行ってる。
寒いの苦手なのに、その時だけは寒いのが、気持ちいい。
そして行くと必ず、神社の方がほうきで枯葉の掃除をしている。
そう、枯葉が舞うのってきれいなのだけども、掃除する方はたいへんなことだ。
小さな神社ではあるのだけど、毎朝、おじいちゃん(と見える)おばあちゃん(と見える)二人だけで、掃いていらっしゃる。
境内はおかげでいつもきれいで、そこを歩くのがまたとても気持ちがいい。
「おはようございます」とわたし(おばあちゃんに見える!)は立ち止まって頭を下げる。
宗教関係ないわたしは、掃除にお参りしてるような気がするほど。
枯葉は毎日降る。ただただ降る。それを毎日掃く。毎日、毎日、だよ。
これは絶対無理だけど、ほんのちょっと気持ちはそういうふうに生きていたい。
降る、掃く。それだけ。
降らないで、とは思わない。掃いたからどう、とも思わない。毎日、毎日。