「ピぺラート」ってラタトゥユとどう違うのかわからないけど、パプリカと玉ねぎだけをシンプルににんにくとオリーブオイルで炒めて、トマト缶で煮るっていうレシピを見て、何度かつくってみてる。作り置きして冷蔵庫に入れておくと、パンにつけてよし。パスタによし。意外とこうやってごはんにも合う。つめたいものがおいしく感じる季節になったね。
最近読んだ本の中でいちばんおもしろかったのが、ブライアン・エヴンソン「遁走状態」(柴田元幸訳・新潮クレスト)だった。日本語訳単行本としてはこれが初。
悪夢のようで、ちょっと怖い作品もあるけど、柴田先生のあとがきによると、この作家は以前はもっと暴力を描いて流血作品だったようで「個人的には、現時点のエヴンソンはほんとうに素晴らしいと思う」という。
短編集ですが、全部がおもしろいものなあ。「マダー・タング」(最近、言葉がすぐ出てこなかったりするからこれ読むとちょっと切実に怖い。噴き出しもするけど)と表題作「遁走状態」が特に好き。「温室で」はちょっとオースターを思い出す、理由はあるけどでもそれ、柴田先生の訳だからじゃ、と思ったり(思うよね!)。
自分が自分でなくなる、自己を失う話が多いが、幾ら奇妙な展開でも理屈が必ず通っているから、ストーリー好きな方にもたのしめると思う。わたしは全部筋が通ってなくてもいい派なのだが(ケリー・リンクみたいなの好き。柴田先生責任編集の「MONKEY」誌vol.2で久しぶりに読めたリンク短編「モンスター」これすごくいい!)
けど間違いなく傑作揃い、毒薬欲しかったらこれがおすすめ! と叫んでおく。