また大寒波だとか・・・、みなさま暖かくしてお過ごしください。
このところ、お酒より甘いものー。まあお酒ものむけどな。
風邪ひきでどこへも行けなかったけど、年末年始の間に読もうと思っていた本は読めた。
とっておきが、曽田さんの小説だった。
脚本家でもある曽田博久さんの「同行二人長屋物語」シリーズの三作(ハルキ文庫)。
一作目が長編「孤剣の絆」、二作目「江戸の蛍」三作目「いのちの秋」は連作短編集である。09年-10年に刊行されているのを、やっと読みました。遅い。ごめんなさい!
タキから曽田さんがこんど書かれたのが、病に倒れた妻の介護をする浪人の物語(介護侍!!)とは聞いていたが、それ・・・読んだらわたしは泣いて目が落ちてしまうんじゃないか・・・と思い、勇気が出なかったのだった。
でもこれが、もちろんたいへん切ないけれど、とっても面白い小説で、夢中になって読んだ。
なにより主人公の妻の佐和が、小説の冒頭で寝たきりになり、現実認識も危うく言葉も少ない人物であるのに、明るく、愛らしく。
そのそばで周蔵は身を粉にして介護する。ぼろぼろに疲弊しながら、さまざまにひとり悩む。
病人のそばでいることを、わたしは自分の父のことで少しはわかる。あの独特の疲労感は、ほかの疲れ方とはまるで違う。
読んでいるわたしも周蔵と一緒に疲弊しながら、それでも何度も、思わずぷっと噴き出してしまった。
作家の力で、物語はやさしく逞しい。
曽田さんの書くパワーというのはほんとうにすごくて、ひれ伏してしまう。
わたしのようなぼんくら者が気軽に面白いとか言っていいのか! いいわけない! と思うけど、きっと読者に面白がってほしくて書かれているはずだから、安心して言おうと思う。面白い。
わたしと同じ歳くらいの男性には特に効く小説じゃないかな、と思ったりもした。
みんなに読んでほしいな。目が落ちる心配をしないで、文庫だし、電車の中でも読んでほしい。
こっそり噴き出したり、涙したりして。