映画、アン・ホイ監督の「桃さん(タオさん)のしあわせ」を観た。
これはもー観たら、泣く以上、目が落ちちゃうだろうなーやだーとも思ったのだけど。
案の定、目が。目が。
しかし、不思議にしあわせな気持ちになる映画だった。
感動作というような映画じゃなくて、とても瑞々しい。スクリーンをみつめていること自体がしあわせな、そんな映画は久しぶりだった。
「しあわせとはなんでしょうね」としみじみ思わされるものなのに、間違いなく、映画を観ることのしあわせを感じるのだった。
タオさんは、卑怯なくらいかわいらしい。
鼻の穴両方にトイレットペーパー詰めていても、かわいいのだ。
病院や施設のなかで、年寄たちの「あー」「うー」という呻き声があちこちから聞こえてくると、つらくなるが、最近になって、そういう声も「暖かく」聞こえることもあるのだな、と思わされたことがあった。
わたしが思ったというのでなく、心から尊敬するひとの言葉からだが。
老いるというのはほんとうに深い。