ゲンさん(架空)のことを前回書いた。
工事の音以外にも、わたしを悩ませているものがある。
ミツさんのことだ。
道で彼女の姿を見たことがあるから、(架空)ではないが、(仮名)というところだ。
男ばかりの工事現場で働く、すてきな女性である。
どうやら、資材などの運搬車の出入りを整理する役目のようなのだ。
窓の外を見ないのでよくはわからない、なぜならそう、わたしはパソコン画面から目をそらさず集中しているからね。集中。
「だめだめー! そことめなーい!」 怒声が響いて来る。
わーわー続く内容までは聞きとれず、ってなにしろ、カンカンガーガーギーギーパッチンパッチン鳴ってる中だし、で、その上更に怒鳴り声って、もお、神経に、こたえる。
女性の声って高いしね、響くのよ。
それでどういうんだろう。「うっせえオバハンだなあ、やってられっか!」と、若いやつが、言うことを聞きやしないんだろうか。何度も繰り返す。しょっちゅう、わーわーやってる。
カンカン、怒声怒声、ギーーー、怒声怒声、パッチンパッチン、わーわー!
「はー。ったく、どうにかなんないすかね、あのオバハン」
「ばかやろー。ミツさんみたいなひとにいっぺんめのゲンバであたって、感謝しやがれ、テッペイ」
とか言って、ゲンさんが。
わたしもゲンさん(架空)の言うとおりだと心から思う。
テッペイ(架空)頼む。ミツさん(仮名)の言うことを聞いてくれ。
ほんとに、みんな、仕事熱心なのだ。