マリメッコのラテマグ、ウェディングローズ柄のこんどはブルーをみつけて買っちゃった。いかん!
先日、映画「監督失格」を観た。
劇場で予告を観たときに、これは観ようと決めていたのだ。
「そんなのは観たくない!」「けど、観る!」
どういうわけかこれは、と思ってしまったのだ。
遅くなったけど、映画館で観ることができて良かった。
冒頭から涙が出てしまった。またおまえは前倒しに......と自分で呆れた。
先に泣いたから後は大丈夫かと思ったら、まったく大丈夫でなかった。
映画を観て泣くのは、最近ではなにかいいことみたいになってるが、念のため書くとこの映画はそんな映画ではない。
それにわたしはどういう映画だろうと、できれば泣きたくないのだ。泣くと疲れるし。
泣きつ堪えつ苦労していたら、わたしの斜め後方でたぶん(声から推測)、それなりに歳をとっているだろう男性が盛大に泣いていた。泣くのはいいけども、「はあ!」「うう!」といちいち妙な嗚咽をあげるので、余裕なかったがあれば振り返って、一言注意したかった。
「おっさん、泣き過ぎだから!」
「あんたに言われたくないわ、おばはん」だろうけど。
ともかく小さな劇場の中で、それなりに歳をとったわたしが二位、おじさんが一位で泣いていた、と思う。みっともなく。
しかもおじさん、エンディングロールでひとり拍手をしたため、それには鼻水すすりながらも小さく噴き出してしまった。
というわけで、まったくもって邪魔くさかったがそれも含めて、映画館で観て良かったのだ。
わたしに書けるのはそんな一位のおじさんのことくらいだ。
この映画の魅力を言葉では現せない。
現せないのがいいところなのだ、とも思う。
由美香というある女を追ったドキュメント映画だ。
はじめからずっと、このカメラを握った平野勝之監督という男を、好きにはとうていなれそうになく、いらいらしたり呆れさせられてばかりだが(なんて困ったひとなんだろう!)、なのに最後にはなんというか、自分のことのようになってしまう。参った。
彼女のほうは......、若いときの彼女はとてもきれいだ。きれいに撮っていないのに、きれいだ。カメラと一緒になって、一心にみつめてしまう。
そうして確かにみつめあっていた、と知るのに、いつかすれ違っていくことも、知る。みつめあっていた頃から、すれ違っていってしまう。その隙間もちゃんと、カメラに映っているのだ。
かわいくって、かなしくって、おそろしいところはとてつもなくおそろしい、映画だった。