きのうも打ち合わせに出て「時間なくて」なんて言っていながら、そのあと、どうしても観たい映画を観て来た、危うく終わっちゃうところだった。
ずっと前にこのブログにも書いた、カズオ・イシグロの小説「わたしを離さないで」が映画化されたと知ったときは、えーそんなー、だった。
確かに映像が浮かんでくる小説だけど、だからこそ難しいだろう。それにこの小説も、ストーリーだけのものではなく、読みすすめていくことで多くのことを感じとっていくもので、小説以外の表現では不可能なはずだ。
それにそれにあのSF設定も、映画になって映画を観た人々にただの設定としてああだこうだ言われるなんてイヤじゃないか。(しょうがないけどぅ)
でもほかでもない「わたしを離さないで」なのだ、気にならないわけがない。
観るならなるべく情報は入れたくない、と避けながらチラチラ見たりしてたら、どうもなんだかいい映画みたい・・・、で、もっと早く観たかったんだけど。
いい映画だった。衝撃が、小説とはまた違う衝撃なのだなあー。
映像、音楽、それにひとの表情や仕草。
なんといっていいか毎度のことながらわからないけど、わたしの感じたのは、「傷つく」がいちばん近い。おかしいかも知れないが、そうなのだ。いろんなシーンに傷ついた。心にある「傷つく」という記憶・感覚のすべてが呼び覚まされ深まっていくような。
ふらふらで映画館を出た。
もちろん作り物として脚本・演出に「うまいな」と唸るところもたくさんあり。
3人の若者役の役者たちも評判どおりにすごく良くて、映画の中で確かに生きているあの3人を観るだけでもいい映画じゃないかな。小説読まないひとたちにも観てほしいと思えた。んーけど、やっぱり小説にあるものとは、違うものではある。
男の子は「BOY A」の役者で、あの映画の存在感がすばらしかったけど、こちらでもいい。
はぁぁ。きょうになっても、まだ胸に傷がちゃんと残っている。
大事な傷なので、治さずとっておこう。