もう一冊、この間に読んだ本のこと、書いておこうかと。
こちらは小説ではなく、リカちゃん先生の本。
「世の中の意見が『私』と違うとき読む本」香山リカ(幻冬舎新書)
このタイトルに思わず買った! はははは。
えーけど、わたしのようなひとのことのじゃないです、リカちゃん先生に「あなたは・・・この本も読まなくていいです」と言われそう。
なんてふざけてしまったけど、この本とてもおもしろかったよ。最近のかなりいろんな、幅広い社会的な問題について書かれていて、特に若いひとにぜひ読んでほしいと思った。高校生とかに読んでほしいなあわたしは。もちろん二十代、三十代にも。
序章には「わかりやすさ」がなぜか強く求められるいま、について、リカちゃん先生らしく鋭くもニュートラルな視点で書いてある。
わかりやすいというのはもちろん、悪いことではない。でも、注意は必要だ。わかりやすさばかりを求めては、ほんとうのことがわからなくなる。
芝居をつくるときに、わたしもいつも役者たちに「わかりやすいことにすぐに飛びつかないで」「たまには難しいことにぶつかっていって」などと言うようにしている。それはどういうことかを、なるべく何度も、言葉を変えて伝えていこうとする。どこまで伝わってるのか? はわからないが、わたしはそれを伝えずにわたしの芝居をつくれないので、そうしている。
創作というのはわからないことを考えるものだとわたしは思っているからだが、でも、創作に限らず、ただ生きていくためにも必要なことだろう。
わかりにくいこと、答えがひとつでないことを考えてみること。
答えが出ないなら、考えたってしょうがない、なんて決めないこと。
考え続けることこそが一番大事なのだ、ということを、「伝えたい」気持ちが近年つよくなっていった。そういうふうに伝えてくれる作品、または場が、「世の中」に少な過ぎると感じるからだ。
面倒くさいのだろうか。ちっとも面倒じゃないよ。考えることに慣れてしまえば、かえって自分のことはシンプルになるものだ。
話が違うけど、いまは何事もあまりたのしめないというひとが、わたしの周りにはけっこういる。
元気だし、毎日やらなきゃいけないことをやったり、やらなかったりしてるし、食べたりのんだり笑ったりもしてる。けど......、というひとたちが。
わたしは「それでいいよ」と言いたい。ひとに迷惑かけてるわけじゃなし。
そういうひとはたぶん、わたしと同じで、もともと、元気ハツラツー!ってわけじゃなかろうよ。もともと不機嫌。もともとだるい。ガンバラナイ。
無理して明るくしようとせんでもええがな。ねっ。
暗くて結構!!