いろいろと考えることが多く、考えたって仕方がないこともどうにか考えださなければならないことも渾然一体となりつつあり、よっしゃ、と足は和菓子屋さんに向かう。
客はたまたまそのとき、わたしひとりだった。
女性の店員さんがおずおずと「新商品のご試食はいかがでしょうか?」と声をかけてくる。「新商品のアリガトウマンジュウです」
「えっ?」 ナニマンジュウ?
「あ、こちらの『ありがとう饅頭』です。ココアの生地に、白餡が...」
うーん白餡かー。しかし、差し出されたそれを一口、頂いてみる。
「......」
「......」
「んー......ココアの......味ですね......?」となぜか聞いてしまう。
「......」
「......いえ、ではこれをひとつ、頂きます」
なんとなーくなんともいえなーい味なのだよなあ、そしてネーミングも見た目も、すべてが『なぜ』な、ありがとう饅頭。
次に行ったらなくなっていそうな気がするけど、でもありがとう、マンジュウ。