吉永です! 写真は主役のカホとロンゴ。板倉美穂と岡駿斗です。
カナザー先輩も振り返り記を同時開催中! わたしも毎回たのしみに読みます。
さてヨシナガ、きょうは劇場について書こうかなと思います。
千歳船橋のAPOCシアターさんは、去年できたばかりの劇場で、わたしも今回の公演で、はじめて使わせていただきました。
はじめてなので公演前に、何度もしつこく、通いました。スタッフとも行き。役者と共に稽古もして。
わらわらと各所みんなで質問攻めにして。
「このひとたちはなにをはじめる気なのかしらん」と劇場オーナーさんに呆れられていないか、申し訳なく思いながらも。ほんとうに、お世話になりました。
ご来場いただいた皆様にはおわかりになるとおり、台本の上でも、この劇場にあてて書いてあるところがあり(大きくは舞台上の階段ですね)、この劇場でやることが企画中身のひとつでした。
そもそもはミニ公演をやろうと劇場を探しはじめたのですが、APOCシアターさんには小劇場にはあまりない、変わったところがいろいろあって、わたしにはそこがすごく魅力的で。スペースは小さいですが、天井が吹き抜けで高く、照明がきくのも、美しい志村照明にはいいだろうなあ、と思ったのも大きかった。やー、音響Hideさんの拘りの仕事のおかげで、音も非常に美しかったですが。
いろんな使い方ができる劇場だと思います。もっとこういう個性のある劇場が増えるといいのだけどなあ・・・
あ、それとチトフナチトフナって、本の中で何度もすみませんでした、
ほんとはチトフナ、いい街です!!
さてこの劇場には窓があって。いちばん最初の下見にうかがったときから、つまり本もまだまったく書いていないうちに、芝居の最後にその窓を開けられないかな、と言い出していました。
わたしにとってそれは、「屋台崩し」みたいなことで、なにも崩れてませんが、芝居の虚構の世界に穴を開けるとか、現実の世界への扉を開くとか、お客さんたちのほうへ物語を流しだすとか、そのような意味をこめたものです。
台詞とか芝居で意味付けするものではなく、ただ役者が、ごそごそと窓を開くのでいい、と言ったのですが、わたしのそのイメージをすぐ理解してくれたのは志村さんだけだったかなと思う。
いま「屋台崩し」なんて言っても、わからない若い人のほうが多く、それにはちょっと困ったけど。
結果は窓の飾りをつくってくれた大島さんはじめ、スタッフ全員でつくったシーンになりました。
実は初日開けた後に居酒屋で、その窓開け問題でちょっとしたオールスタッフ会議になったんだよね。スタッフみんなからわたしにダメ出しだよ。で、わたしはぶうっとして。
悔しくて寝ないで新案を考えた。(嘘、寝ました)
どういう話だったか、というのはここでは省くけど、あの話し合いのおかげで、考えることができたし、おもしろい話だったと思う。
二日目に小屋入りして、その案を試すべく、舞監ウオズミくんにつきあってもらい、二人で真剣に窓を開けていたら、ちょうど下を、遅刻したカナザー先輩が焦りながら走ってきてるのが見えて、あれは可笑しかったなあ。
そんなわけで、初日はロンゴが一枚の窓を開けていたのですが、二日目からはカホとロンゴが二人で二枚の窓を開けることになりました。
小さな窓なので、ダイナミックに絵が変わる、というわけにはいかないのだけど、外の光は強く感じる。それから風や、風がなくても外気や、うっすらした外の音というのは、ちゃんと感じとれる。
外には別になにもなく、ふつうの道やふつうの街路樹、ふつうの街灯が見えるくらいなんだけど、それが良いとわたしは思って。
客席の座る場所によっても見えるものは違い、緑が目に飛び込むひとや、なんの変哲もない景色、というところもありましたが、それもそれで良いと思いました。
こういうのって、どうでもいいひとにはどうでもいいでしょうし、そうでないひとにも、凄いって思われなくていい、芝居の余韻として自然になにか感じとってもらうほうがいい。
でもま、わたしの友で、ひとりだけ、あれは良かったね、と特に一言触れてくれたひとがいて、それはそれでちょっとにんまりしたりはしましたよ、イチローくん。
昼と夜ではまた、大きくイメージが異なっていて、どっちも良かったな。
どっちも写真に撮っておきたかったけど、ま、しょうがない。
舞台写真はゲネにて美術の大島さんに撮ってもらったので、後日、受け取りましたらまた、こちらにて何枚か、載せていきたいと思っています。