金(金沢)です。
「今から皆さんには、バカを演じてもらいます」
羞恥心を捨ててみる、というテーマのウォーミングアップをやってみた。
つまり、これ以上ないくらい恥ずかしいことしちゃえば、いくら思春期であったって、舞台上での多少の恥ずかしさなんてどこ吹く風になるであろうと、そう考えたのだ。
例えるなら、バカボンのレレレのおじさんのようなキャラクター。
そういう浮世離れしたものを全力で演じてみようではないか。
「中途半端だと余計に恥ずかしい、ってのがミソです」
しかし、この提案には大きなリスクが伴っていた。
人にやらせるだけでなく、自分もやらねばならない、というリスクが......。
そんなのわかっちゃいたけれど、いざ、バカ開始。
美穂ちゃんやユタさんは、いとも簡単にやってのけた。
むしろ、そんなことになんの意味があるのか、とでも思っているのかもしれない。
そして、駿斗。
なんと、サクッとやりきりやがった。
まさか、なんてこった。
自分の中の羞恥心の壁を乗り越えていく葛藤が、まるで感じられないなんて。
そんな壁なんて、もともとなかったかのように。
恐ろしいことに、これ、パスはできないんです。
そうやって、自分の番が嫌でもまわってくる。
「あひ、バ、バカだよーん」
ううう、ああ、なにかが崩壊していく。
見ている側が、なぜか恥ずかしさに身悶えしている。
やめてくれ、ドン引きだけはしないでくれ。
みんな、このウォーミングアップでなにか得たものはあったかい?
ぼくはなにかを失いました。