ピクニックに行きたい、けど、うちで。冷蔵庫のつまらないものでも、ちまちま詰めてみるとたのし。
我らが舞監のフジモトは実に男らしいことで(女性です。ん、なんかそうゆうひとばっかかな?)、役者たちや若いスタッフたち、男女問わずにたいへん慕われている。
先日、公演中のフジモト(これがまた常に本番中のような状態で、モウレツに忙しい)に、打ち合わせしてくれしてくれとせがみ捕まえて、せめて彼女の一日の仕事終わりをねぎらうべく、少し呑み食べしようと誘い、適当な居酒屋に入った。
その適当な居酒屋に我々が座ることができるまでの、フジモトの言うこと為すことがもう万事、男らしかった。
さて座った。メニューを開くなりフジモトは「あ、骨せんべい! あと牛ステーキ」と店員さんに注文する。おじさんの店員さんであったが「わかってるねあんた!」とばかり勢い良く、そのオーダーを即、通しに行っていた。
骨せんべい、あと牛ステーキ。素敵すぎる。わたしは心で復唱した。
そんなにも男らしいオーダーをホンモノの男性からもわたしは聞いたことがない。
更に鉄板のミニステーキをつまむやいなや、フジモトは店員さん(こんどは女の子だった)を呼び止め、「これに塩かけたいんだけど! 塩!」と言って、塩をもらっている。
うん塩だよね、労働者は塩! でもねーあんた・・・身体に・・・悪いから・・・ちょっとは気をつけてよ。そのレモン絞ってごらんな、とわたしは言う。
いますぐわたしと結婚したほうがいいんじゃ・・・
いや、そうなったら、帰ってこねえーなコイツ・・・
「あ!」とわたしは思わず叫ぶ。
明太子入りだし巻きたまごに、だーーっと醤油をかけたフジモトは、一口ぱくつくと、わたしの顔を見やり、「・・・んまい!」といたずらっ子のような笑顔をする。