うちの冬カレー。夏は茄子やトマトを入れる、冬はれんこんと里芋。
里芋、カレーにすごくあいます。ぜひお試しを。
さてこの間、読み終わった本のことから書きたい。
これは今年出た本ではなく、03年に出版されたものだから、読んだ方もたくさんいるかと思う。
「エドウィン・マルハウス あるアメリカ作家の生と死」
スティーヴン・ミルハウザー著(岸本佐知子訳・白水社刊)
10歳で傑作小説を書き、11歳で死んだ天才少年、エドウィン・マルハウスについて、同じく小学生である、同級生の少年が書いた克明なる伝記。という形の小説。
どうよ、これ、まずこれだけでおもしろそうでしょう。
といっても小学生の文体ではなく大人の文体なのだが、溢れるばかりのこどもの視点、こどもの世界、こどもの感情が読み手をこども時代に一気に引きずりこんでいく。
夥しい描写のおかげで難点は長い、本を読み慣れないひとにはちょっとツライかも、けど、まったく退屈することはない。
脅威の記憶力を持つ伝記作家の視点により、赤ん坊時代の出会いからはじまって、読み手は、天才、エドウィンに出会い、みつめ続け、肉迫する。
ただすぐにこの伝記の書き手、ジェフリー・カートライトに、その記憶力ばかりでなく、なにか異常性、なにか嫌な感じに気づくことになる。しかし、時既に遅し。もう頁をめくるのを止めることはできない。
そうして本を読み終わるまでには、ジェフリー・カートライトくんの執拗さ、傲慢さ、残酷さ、身勝手さ、それらがすべて読み手のわたしのものになっている。
我慢ならないほど鼻につく「嫌なヤツ」、でも逃れることはできない、ジェフリー・カートライトはわたしなのだ、と思い知らされることになる。
読み終わったら、しばし虚脱感が・・・
「カラフルな悪夢」です。
「馬鹿みたいな」話、わたし、ミルハウザーをこれで初めて読んだんだよね。
自分の好きそうな本なのに読んでいないものって、けっこうたくさんあるな。
これからほかのミルハウザーも読んでみます。
あとさー、この表紙の写真がものすごく作品に似合っていて素敵だよなあ、と何度も本を閉じるたびに眺めていたら、ふっと、あれ? これって・・・
と奥付を見たらベルナール・フォコンの写真「空飛ぶ紙」を使っていたのでした。
フォコンって、昔、写真集も持っていたような。(と、いま調べてみたらあらたいへん、絶版に!)
なんでも忘れちゃうんだからなあ、わたし! 馬鹿みたい。
ジェフリーはわたしだ、ってまったく違うじゃんか! ああ記憶力よ!
えーと、「わたしのおすすめ本2009」係。
メールいただいたたくさんの(ね!)方々、ありがとうございます!
次回より、こちらの記事でおすすめいただいたおもしろそうな本、じゃんじゃか、
ご紹介していきます。
でもどうしましたか?
遠慮なさっているたくさんの(ね!)方々がいらっしゃるようですねえー。
さあさあ、そんな、遠慮せず。クリスマスまでお待ちしてます。
こちら、「わたしのおすすめ本2009」係まで。gogo.ame@gmail.com