そう。これが、劇場入り口から見あげた空。
いつも見ていた四角い空。
どきどきしながら、うんうん考えごとしながら、時にはなんにも考えずただぼんやりと。
お久しぶりです、ヨシナガです。
カナザー先輩、ありがとう。 「下袖日記」好評連載でした。
終わった公演のことを後からいろいろ書くのは無粋ではあるけど、
観ていただく前には書けなかったことも多いので、先輩に引き続きわたしも、
「午後から雨になるでしょう」(2009.10.7~ 11 ウッディシアター中目黒にて)
4短編を振りかえってのエンシュツ雑記を数日間、書いていこうと思います。
とはいえ、いちばん笑ったことはここに書けなかったり(でもそういうことは読んでもあまりおもしろくもないかもしれない)、いちばん苦しんだこともここには書けない(そういうことは胸におさめておくのだ)。
それにわたしが書くことなんて、お客さまたちにはちっとも関係ないことかも、しれない。
それでも、きっといまこのブログを覗きにきてくれているあなたは、なにかしら、あの公演をおもしろがってくれた方だと思うので、少しはなにか、ふうん、ってことがあるかもしれないです。
さて公演終了後、ボロ雑巾のようになっていたわたしです。(でもすぐに仕事が!)
けれど公演を観に忙しいなか、なんとか駆けつけてくれた、友たちからの感想のメールが届くのが、とてもうれしい日々でした。
わたしにとって今回が4年ぶりの公演でしたが、その4年前の「シエラザード」の公演で大協力してくれた友、Tくんは現在、仕事でほとんど海外の日々のなか、千秋楽に来てくれ、
前作とはまた違って、「全員で作った」感じがする、その場にいなかったのが悔しかった、
と言ってくれた。
ほんとうにものすごい熱だったと思う。役者スタッフ「全員」、あらためてありがとう。
これまで(シエラザード)は自分の本だったわけですが、わたしの芝居は「よくわからなかった」と言われることもままあり、今回も「わからない」と言う方もいらっしゃいました。
わたしはできたら、ただ感じてほしいのだけどな、と思い、しかしそれができないのは、作品になにが足りないのか、わたしの責任だよなあ、とこれまでさんざん悩んできましたが、
なにか今回、最後の日には「わかったりわからなかったり」するのもお客様の自由かな、と思うようになりました。
もちろん作品を完成させていくのに努力しない、わけはないですが、
みんながみんな、わかるように作る、ということだけが、芝居をおもしろくしていくことではない、と
わたしは思うんです。
「ちっともわかんなかったけど、なんかすごかったよ」と笑顔で仰ってくださる方もいて、
わたしはきっとたぶん、これでいいのだ。
と胸をはっておかなければ、ですね。
昼の回の終演後に何年ぶりかに会う同級生たちとお茶をして、まずは、
「あや・・・難解だよ」と言われ、「まあそれが・・・あやなんだけどねえ」
と芝居の内容というより人生ダメ出しをくらいましたが(人生ダメ出しはほかにも多々、いただきました)、つかちゃん、その後、びっしり書いたアンケートを送ってくれてありがとう。
また別の日、劇場にて、ある御年配の女性脚本家の方に、
あなたたちの演劇に託した想いが、とても伝わりましたよ、という言葉をかけていただきました。
いま、こういう芝居は少ない、できれば続けてほしい、とも仰っていただき、
わたしはにこにこしながら「お金なくなっちゃっいましたからねえ」と答えましたが(正直に!)、
ほんとうは少し半べそかきそうになるくらい、
子供な気持ちでした。わたしは小さい。
小さいわたしはけれど、その言葉にほんの少し、心を強くしていただきました。
あらためて、お客様たち「全員」に感謝を。
では次回から、各短編を振りかえってまいります。