連日連夜の酒宴もたたり、本番四日目ともなると財布の中身、もとい、意識が朦朧としていた。
それでも、この日の昼公演。
脚立やら新聞やらおしりダンスやらを無事に終え。
『オドル』のスツールを片した後、本番中に下袖からロビーへと抜け出した。
何をするかというと、照明音響ブースの隣へ行くのである。
実は、そこには本番観劇用に作ってもらったスペースがあった。
今まで一度も利用していなかったが、いつまでも下袖でウダウダ引き篭もっている場合ではない。
梯子を上ると『彼らは雨を連れてやってくる』の最後の場面が見えた。
おばあさん役のミノリさんと、ヒラヤマさん、ホリヒロキ君が喋っている。
最後のシーンだけだけど、じっくりと腰を据えて観る。
すると、照明が舞台上の会話の内容に呼応するよう変化していくことに気付いた。
照明のシムラさん、魔術師だな、と今更ながらに感動する。
本番前の仕込みで、チャンチャカチャンチャカ早回しのようにライトを取り付けていたシムラさんもすごかったが、舞台上を把握しながらの照明操作もすごい。
夜公演も最後だけ観た。
シムラさんの照明を受け、ヒラヤマさんが言う。
「指差されて笑われてんよか。おいがあん時決めたとよ。笑われて歩いていこって」
個人的には、ここが一番泣けるところです。
でも、あれ、これって四日目のエピソードだっけ?
三日目の話なのか四日目の話なのか、もはやわからなくなっている。
皆様、どうかお酒はほどほどに。
<どうでもいい追伸>
先日の日常。
この稽古場日記を読んでいた人に「だから満足に脚立も出せねーんだよ」と罵られました。
おいもあん時決めたとよ、笑われて歩いていこって。
道化を演じているのだ、俺は、と釈明したが未だわかってもらえません。