作家陣の中で、熱心に稽古場へ顔を出すヒトあり。
『Fool On The Roof』を書いた、ミヤシタさんだ。
ミヤシタさんは学校、系統的にも大『センパイ』である。
従って、ボクのしていることなんてゼンブわかってるぜ、と言わんばかり全てを見透かされているような気がして、ミヤシタさんを前にすると蛇に睨まれた蛙の如く縮こまってしまう。
何かしでかしたわけではないのに、すいませんすいません、という胸中。
そもそも、知り合ったのは約10年前。
某所では「ミヤシタ先生」と尊敬の念を込めてそう呼ばれていた。
ボクもそれに倣って「ミヤシタ先生」と呼んでいたのだが、ご本人的には好まないらしく「そう呼ばれたくない」と言ったのを覚えている。
でも、それ以外に呼び方を知らないし、かといって急に「さん」付けでと呼ぶのも非常におこがましい気もして、なんとなく微妙だった。
ところが、ゴゴアメの稽古場では、アスカさんがミヤシタさんのことをなぜか「クマさん」と呼び、ご本人も「おぅ」なんて江戸っ子のようにスッと気さくに応えている。
クマさん、て。
テディベアが浮かんでは消える。
か、かわいい。
なんとなく「ミヤシタさん」と軽々しく呼べる気はしたものの。
『Fool On The Roof』なんて怪作を書くものだから、やっぱこりゃダメだ、と。
ボクにとっては永遠の先生なのであった。