そんなわけで、高木登くんはただいま「鵺的」のきたる8月、旗揚げ公演「暗黒地帯」を背負っているのである。
道を歩くときも、ごはんを食べているときも、常にこのように背負っている。立派な主宰である。
うなだれているのは、本人が「このほうがおもしろい」と言ったからであり、写真を撮るからとこの格好をさせられているからとかでは断じてない。
高木くんとのつきあいはたぶんこの三年ほどなのだが、なにか異様に長いつきあいの気がする。
今年は彼がシリーズ構成であるアニメ番組(来年1月からオンエアだそう)の脚本の仕事を紹介していただき、参加している。仕事を紹介してくださるというのは、特にわたしのような日々ふらふらと生きている者にとってはたいへんにありがたい話である。
ありがたいが、なんというか、わたしは「タカギ・ノボル的なもの」で猛烈に忙しい。
タカギ・ノボルの仕事、タカギ・ノボルの芝居の手伝い、タカギ・ノボルの身体の心配、で、自分の芝居のことは細々とやり、なんとかここまできたものの、この後を考えるとおそろしいことになっている。
そして当のタカギ・ノボル本人はといえば、別にたいしてわたしに「お願い」とか「感謝」とかするわけでもなく、淡々と指令をくだしている。
どっちかというと、ヨシナガアヤというのは「使いにくい」ツカエナイ人間だと自分で思う、そんなわたしをよく顎で使えるな、と感心する。感心などしているから、指令がくだされる前にまた走り出したりしている。で、「タカギ・ノボルの舎弟をやってます」と知り合いには言ってみるけど、これがまた、見た目のせいなのか、キャラというやつか、わたしが威張っているようにしか見えないようで、歯がゆいことこの上ない。
ここらで逆襲を試みようと、「ゴゴアメ」には彼を巻き込み、短編の1本を依頼して心のなかで万歳をした。しかし、彼は仕事に、そして8月の公演に忙しく、こちらの短編を書く時間がなく、またも心配するのみの不甲斐ないわたしである。
とにかく、「暗黒地帯」本番まであと2週間と少しになった。
8月5日(水)から9日(日)まで下北沢「劇」小劇場にて。
チケット好評発売中につき、これからお買い求めの方はぜひ、お急ぎください。
詳細は「鵺的」HPまで。
チラシにあるとおり「そのテイスト、口に苦し」、その看板に偽りなし。
鵺的始動にあたり、高木登入魂の作品です。